【マジックショーの演目構成ガイダンス】

 

 

クロースアップ~サロンマジックの演目構成に悩んだなら,まずこの記事を読んでください。

 

定石的な典型例が分かります。

 

「オリジナリティ」や「型破り」を追い求めるにしても,これらが「ウケのクリア基準」になります。

 

★また,混同されがちな「ラストトリック」と「クロージング」の区別も説明しています。

 

 

<全体>

起承転結で捉えると良いでしょう。

 

 

【起(オープニング)】

映画のプロローグのようなイメージです。

 

出だしは,素早く客の興味を引きつけるのが先決です。

 

「つかみ」という言葉そのものです。

 

客はあなたの実力が分からず,マジックが楽しいのかどうかも半信半疑です。

 

(モタついた時の「客の内心」を想像すれば,出だしスピードの重要性が分かるはずです)。

 

例えば...

 

ファイア ワレット

●グラス出現

サドン デック

分裂箱

 

などです。

 

▶︎共通点として,独りで一発芸的にスピード展開するビジュアル現象です。

 

客の手伝い(カードを選んで覚える,サインを書くetc)を避けます(いきなり手伝うほど,客は気乗りしていません)。

 

インパクトも大切です(地味だと"期待外れ"と思われて逆効果)。

 

 

 

【承(序盤〜中盤)】

客にカードを選ばせるなど「参加」や「体験」を交えながら主体的に楽しんでもらえるように配慮します。

 

わりと自由に演目を選べるので列挙しません。

 

ただし現象系統が偏っては失格です。

 

●悪い例:「カード当て」ばかり(復活・一致・出現・消失など現象豊かに)

 

 

 

それと「奇抜なもの・インパクトが強すぎるもの」は,まだ避けます。

 

その後のマジックショーが,かすんでしまうからです。

 

●悪い例ブレイド(メス刃を呑むこむビザールマジック)

 

 

【転(後半の手前)】

客の集中力を切らさらずに,ラストまで楽しんでもらうには「転(趣向を変えた演目)」が重要です。

 

マジシャンはつい忘れがちですが,一般人はたくさんのカードマジックを見るほど好きではありません。

 

(たとえるならストリートダンスが凄くても,8分も見たいとは思わない気持ちを理解して下さい。マギカ運営者は1日中でも見れますが,マジック同様に"愛好家だから"です。)

 

 

 

▶︎そこで,素材を変えるのが適切です。

 

例えば,スプーン曲げ,ルービックキューブ,ブレイド(ここでこそ!)etcです。

 

なんにせよ,「新鮮味や意外性(お口直し)」で,興味を仕切り直す狙いです。

 

(←左の各カテゴリが参考になるでしょう)

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★そして,演目多量に見せすぎないで下さい。

 

ラストトリック・クロージング前に, お腹いっぱいになってしまいます。

 

【結(ラストトリック)】

一言でいえば「大技」あるいは「奥義」です。

 

マジシャンにとっての難易度というよりも,「客から見た目のスゴさ」が判断基準です。

 

典型例として...

 

サインカード to ワレット

●ペットトリック(ペットボトル内へのサインカード移動)

●ビル in レモン,サインカード in レモン(紙幣やカードの果物内 移動)

ネストボックス系

●サインカードが未開封デックに移動

 

▶︎実は共通点として「インポッシブル ロケーション(不可能な場所への移動)」と呼ばれるジャンルです。

 

インポッシブル ロケーション系統は,ラストトリックの定石です。

 

移動先を工夫すれば,オリジナルアクトも作れるでしょう。

 

 

あるいは当て方自体の「誇張」や「派手さ」です。

 

典型例として...

 

剣刺しカード当て

天井に貼り付くカード当て(バーマジックのトリネタ)

 

 

あるいは複雑性・単純性です。

 

例えば...

 

●カード当てと同時にフルデックの整列(複雑性)

マジシャンが触れない状況でのカード当て(単純性)

インビジブル デック(単純性)

4枚連続でのホーンテッドデック(複雑性)

 

「複雑性」というのは「複雑な事象の達成」です。

 

「単純性」というのは「シンプルすぎて,仕掛けの余地がない極限状況」です。

 

▶︎いずれも難易度が最高峰に見えれば,ラストトリックになりえます。

 

 

 

<クロージング>

映画のエピローグのようなイメージかもしれません。気持ちよく終演するために大切です。

 

オムニデックバニッシングデッククロージング(締めくくり)の典型です。

 

カードが使えない状況(ブロック化や消失)になるため,分かりやすい終わり方です。

 

 

<注意!>

ただし「ラストトリック(大ネタ)」と「クロージング(締めくくり)」の区別が大切です。

 

例えるなら「メインディッシュ」と「デザート」は別腹です。

 

▼カードがメインのショーで考えて見ましょう。

 

「物体自体の変化・消失(オムニ等)」はインパクトが大きいとは言え,あくまで「カードマジックと別ジャンル」です。

 

 

前述の「カード to ワレット」などカードマジックの大技(メインディッシュ)で満足させた後だからこそ,デザートを受け入れる気分になります。

 

カードマジックが中途半端な盛り上がりのまま,オムニデック化しても「え?終わりなの?」という変な空気におちいってしまいます。

 

カードマジックを十分に見せること,すなわちメインディッシュの提供後にデザートを出して下さい。

 

 

<総括>

以上です!

 

ベタな演目が多数並んでいますが,「無数の創作が繰り返された長い歴史を経て,生き残った演目」です。

 

 

オリジナルを目指すにあたっても,意気込みすぎず,逆に尻込みもしすぎず,実現できるラインを探ってみてください♪

 

 

 

※各演目内でのオチ(ジャンボコイン,ジャンボスポンジ,カップ&ボールのファイナルロード等)については深入りを避けています。

 

本稿ではフラクタルな構造(各演目内にも起承転結がある)よりも「マクロな全体構成のご案内」を優先するためです。

 

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